神戸国際会議場での「脱炭素化とBCDを考える」シンポジウムに出席して

 2021年11月11日(木)、第28回(一社)都市環境エネルギー協会の恒例シンポジュームを神戸市で開催することにしたのは、2025年の大阪・関西万博の前哨戦にしたからである。

 2020年2月、(一社)日本熱供給事業協会が、千里中央地区と大阪万博会場で、日本初の地域冷暖房開設50周年の式典を大阪帝国ホテルで盛大に挙行された。その翌日、千里の阪急ホテルで、大阪ガス主催「千里中央地区地域冷暖房開始50周年」の講演会が開催され、講演させて頂いた。それから間もなくコロナ禍に入って一年以上、東京や大阪の緊急事態宣言下が続いて、無観客の第2回東京オリパラも終了した。

 コロナパンデミックによる世界の死亡者は500万人以上、感染者2億5千万人以上という大災事に加えて、COP26で益々鮮明になってきた地球温暖化による気候変動対策で、日本も2050年カーボンニュートラル宣言をせざるを得なくなった。また首都直下や東南海地震発生確率の上昇から、国土強靱化法の制定下、冷静なるシンポジュームは、何故か大阪や東京ではなく、神戸でこそ可能と考えた。

 然るに、愈々、神戸の国際会議場を予約して、2020年の東京での実績を考えると、なかなかシンポジュームのテーマが定まらなかった。しかし、大阪・関西万博EXPO’25の会場計画での委員会や神戸三宮駅周辺のBCD特別委員会等の進行状況がいつか顕在化して、すでに喫緊の事態になっていたことがわかってきた。その結果、委員会で指導的立場にある方々に講師をお願いしてのシンポジュームと共に、神戸市で進んでいるポートアイランドの水素プラント等の案内状を配布すると、あっという間に定員120人を超える申込みがあり、その半分以上が東京からの申込者であるという。

 シンポ当日の東京は快晴であったが、新神戸駅で中嶋浩三氏と待ち合わせ、タクシーでポートアイランドの国際会議場に到着したときは、相当に雨が降った後のようで雲が重く、来場者が心配になった。講演者は予定通りの時間に控え室に来て下さったので一安心。会場はソーシャルディスタンスとあって、250人の定員席に120余人。既に満員の盛況下、特別の打合せもなく、竹中工務店の中村慎副理事長のご挨拶に続き、大阪大学の下田吉之教授の「カーボンニュートラル都市への課題」、国土交通省の渡辺浩司都市局技術審議官の「脱炭素化とBCDに向けたまちづくりに関する国土交通省の取り組みについて」、神戸市の鈴木勝士都市局長の「神戸のまちづくりにおける取り組み」、最後は大阪ガスの田坂隆之副社長の「DaigasグループのカーボンニュートラルビジョンとBCDへの取り組み」で、予定を10分程超過して、20分休憩。この休憩の間、大阪ガスに毎度、無理にお願いした格好の栗饅頭を食べ元気回復。

 毎回楽しみにしているパネルディスカッション70分のコーディネーター役で、下田教授には、リーダー育成と大学院生たちのカーボンニュートラルの危機感、私生活でも覚悟やEXPO’25等への学生たちの関心の無さについて、渡辺審議官には、国土強靱化は国交省の専轄であるが、エネルギー基本計画の実行には、その人材が地方で致命的に不足していることに対する対応について、神戸市の鈴木局長には、三宮駅周辺再開発では市がマイクログリッドの主体者となるべく、民間や国が期待していることに対する可能性について、最後の田坂副社長には、2050年の50%削減にはガス中圧管を活用したCGSの思い切った投資と大阪臨海熱供給会社の夢洲スマートシティ構想への参画について伺うことになった。

 当然ながら、壇上で明確に即答できる内容ではないものの、皆さんは相当の覚悟で回答して下さったことは、視聴者の反応で十分に理解できた。閉会の挨拶で、関西電力の松本和拓理事はこの間のまとめをして、無事時間通り終了する。

 大阪ガスの田坂副社長主催の反省会会場は、神戸市でも由緒ある中華料理の「牡丹園」で、下田・田坂・今井・尾島のテーブルでは、特に下田先生とはEXPO’25会場構想について、田坂副社長とは「神戸市三宮駅周辺BCD特別委員会」でのマイクログリッド実現問題について、シンポジュームの討論で処理できなかった案件について話し合う充実した一日を終了。予定していたより遅く、神戸みなと温泉「蓮」に宿泊する。

 「蓮」は、最近の温泉旅館格付けでは西日本で一番好評とかで、神戸港の地下1150mから湧き出た源泉を使用した天然温泉として、厚労省認定全国23ケ所の一つ、京阪神では唯一の「温泉利用型健康増進施設」というだけあって、実に素晴らしいホテルである。10階の屋上で神戸ポートの夜景を見ながら気持ち良い浴槽に浸かって、すっかり元気を取り戻す。

 11月12日(金)は午前10時から神戸市都市局計画部の会議室で「神戸市三宮駅周辺BCD特別委員会」を開催。委員長として、前日のシンポジュームの成功と共に、神戸みなと温泉「蓮」の地熱利用とウエルネスのテーマ追求は、大阪・関西EXPO’25のテーマと同一で、先駆けていることに注目したい。また、2025年万博のレガシーとして、三宮から神戸みなと一帯の再生、国土強靱化とカーボンニュートラルのモデルとして、世界中からこの地に人々が見学に来るようなまちづくりを進めたいと挨拶する。

 帰京時の昼食に、新神戸駅に隣接するANAホテルの「たん熊」の京料理も格別であった。

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