2022年1月28日6:15~7:30pm、オンラインで稲門建築会の新年座談会「ゼネコン TWO TOP に迫る!」を聞いた。
TWO TOPとは、2016年4月、清水建設の社長に就任した井上和幸氏(早稲田学院から早大建築・大学院で田村恭研OB)と、2021年6月に鹿島建設社長に就任した天野裕正氏(開成高校から早大建築学科、安東勝男研OB)で、この二人に迫るのは、稲門建築会会長で、日建設計会長の亀井忠夫氏(早大建築卒)。「迫る!」というから余程激しい討論会になるのかと期待していたところ、早稲田の新年会とは思えぬ、上品で紳士的、しかもこれからのG.C.や日本のあり方を楽しく教え導いてくれる座談会であった。
この三人が早大で学んだのは1970年代で、早大理工学部が西早稲田から新大久保の新校舎に移った頃である。安東勝男教授が設計し、松井源吾教授が構造、田村恭教授が施工を管理して、日本最初の18階建の超高層ビルである51号館に建築学科教室があった時代である。
1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博の国威高揚、理工系学部の定員倍増から、1970年代はオイルショックや公害等、高度経済成長期への激変期で、麻雀や山歩きぐらいが学生の娯楽だった。建築学科の卒業生は、設計のみならず、施工や環境方面、大学院進学、更には金融機関等、多方面に就職した時代であった。
しかし、先生方の就職指導は的確であったことを連想させる彼等の進路選択で、就職後の建設現場での過酷な毎日、日進月歩の設計や施工技術の発展にも真正面から真面目に立ち向かった成果としての今日の社長就任であったこと。無理なく自然体で、堂々たる人生を歩んだことを教えてくれた。司会の亀井氏の進行は実に分かりやすく、スーパー建設会社の実態を教えられ、清々しい話し合いで、あっという間に7:20pmになり、まとめとして建設業界のBefore Afterの段になる。
両氏は、物づくりの建築現場は「金と物」のマネジメントが全てで、そのためには話し合いとチームプレイが大切という。早稲田大学の建築教育のデシプリンそのものと実感。
まとめとしての二人の提言は「建築界の長時間労働、高齢化、少ない休日は問題であるも、世界中が激変するこの時代、建築は間違いなく不変で安定した職場であり、『三方良しのESG(環境・社会・企業統治)』の先陣を切っている上、DX時代にあって、BIMや女性の活躍する場を先取りしての革新的職場であり、新しい時代を創り出す中心にあるのは建築界と確信する」と言う。TWOならぬTHREE TOPの意気投合した提言に、明るい建築界の未来を直接聞けたことは、私のみならず、会場やwebで参加した400余人にとって、実に素晴らしい新年の座談会であった。
最後にコロナ禍の困難な状況下、稲門建築会事務局の皆様に感謝する次第である。