Blog#55 第11回八ヶ岳研究会と御柱祭り

 2021年10月8日、「第10回八ヶ岳研究会(幹事会)」を池の平ホテルで開催し、研究対象の時・空間を拡大したことから、8部会での研究内容を相談した結果、2022年度からは単なる調査研究ではなく、実装を伴う必要ありとして、4部会に再編成。担当者を決めて、それぞれの活動報告を研究会で報告することにした。2022年5月2日、第11回を池の平ホテルで開催する。

  • 景観・縄文部会(尾島*/山路・斎藤・五十嵐・雛元・小松)

  WG ソーラーコレクターの景観破壊(設置基準づくり)

  WG 甲信越の縄文遺跡の世界遺産登録               

  • 二地域・防災部会(小林*/福島/斎藤・阿部・両角・五十嵐)

  WG 二地域居住の実装(サテライトオフィス・ベンチャー)

  WG 移住者と別荘住民の違い(ふるさと納税・コミュニティ)

  WG 空き家・廃屋の活用・都市防災・財産区

  • エネルギー・地方創生部会(中川*/福島*/小平・中島・後町・小泉・矢島)

  WG バイオマスエネルギーへの活用(チップ工場の経営)

  WG 八ヶ岳研究会の活動支援(国・地方自治体)

  • 白樺湖・広報部会(矢島*/尾島/丸山・小林)

  WG 白樺湖畔再生(PRH再生、山善跡地問題)

  WG 広報・出版活動(ガイドブック・Blog・講演会)

  WG 活動拠点事務局

当日の研究会出席者は17名、午後2時から4時30分迄、上記テーマについて報告。その後、バスで矢島社長が案内して白樺湖畔とホテル山善の撤去後、公園に整備中の現地を視察する。6時から7時30分迄、12名の参加者で懇親会後、解散する。8人が一泊して翌日は自由行動となった。

 最初の五十嵐先生の報告は、八ヶ岳山麓の縄文遺跡を世界遺産に登録するに当たっての問題点について。続いての財産区の未来については、初めて同行された(一社)ダイアローグプレイスの新野圭二郎代表理事と風早互近所支援プラットフォームの桑原洋一代表理事から、五十嵐報告予定の資料を下にして、財産区や地方の未来について具体例を提言。

財産区の未来について

一.深刻な危機

高度経済成長期のスキー場、ゴルフ場、ホテル、別荘という開発セットが音を立ててくずれていること。その後の開発イメージがわかない。

住民の高齢化が進み、後継者がなく、森林も材を生み出すどころか、逆に維持管理を含めて負担が大きくなっている。

二.活用の一事例

アートコモンズの進出

芸術家集団 都市から離れ自然での自由な創造を目指す

A株式会社は財産区から土地の提供を受け(借地権)、運営会社を作り、ここを運営する。

 会員の募集

芸儒家の参集と活動

その成果を会員に分配

 その他、展示や文化アピール

組織

会員は芸術を愛する1万人。B社団法人の一員になり会費を払い芸術の創造に尽くす。

 特徴、9割が外国人ターゲット

収益と分配

 Å会社は芸術家の創造する作品をB社団法人の会員に分配するほか展示会などを企画する。

特徴

財産区の共同利用の一形態。

つまり土地を所有せず、アーキテクトと会員を結びつける。

A会社は利益をB社団法人は公共性の獲得を目指す。

従来、財産区は、会社に土地を売る(貸借)し、その利益を受けるというだけであった。しかしアートコモンズは利益と公共性の双方を目指す。こういう新鮮な発想をどんどん開拓していきたい。 

 この五十嵐提案を下にして、当地での検討については、懇親会で話し合うことになった。続いて

  • 尾島から、甲信越の世界遺産登録に向けた縄文社会研究会はgive upすることになった理由と、御柱祭りと縄文との関連について質問すると、井戸尻考古館の小松館長より、当地でもこの接点についてはよくわかっていないとの説明に納得する。
  • Web参加の小林先生からは、4ヶ月前から二地域居住を金山地区で開始された状況について、再生可能ソーラーの有効性と採算性について、収支以上に挑戦の大切さについてと同時に、当地区での環境に関する企業活動やバイオマス利用のあり方について報告。
  • 中川氏から、バイオマスの現地利用の実態について報告。昨今の社会的要請からも実践する必要が出てきているので、事業化を急いでいる由。

 4時30分になったので、バスで白樺湖開拓記念館と尾島研で作成した当地区の模型で初めて参加の方々に状況説明後、①図のごとく、ボート乗り場の手前のホテル山善は2棟共撤去されている上、②図のように、既に一部が公園用地としてテラス状の空地が段状に整備されていた。この地にPRHの鉄骨躯体をモニュメントとして再建されると面白いと直感したので、この考えを新野さんに翌日伝えて検討を要請する。

 6時からの懇親会は、五十嵐チームを中心に、日置弁護士夫妻の東京の神楽坂界隈のまちづくりと新しいコミュニティの再生に当たって、OBの鈴木俊治君等が参加しての成功談。桑原氏の神奈川県葉山市での新しいまちづくりの話題は、実に愉快で楽しい。少子高齢化や格差・空き家・空地・分断社会にあってのこれからのまちづくりに参考になる。そのほか、八ヶ岳山麓に新しいコミュニティをいかに創造するかについて議論あり。その実践には、中川氏や福島氏の支援と五十嵐グループの次回での提案を期待して7時30分終宴となる。

 翌日は改めて白樺湖畔の阿部氏宅前を通って八子ケ峰ホテル前の白樺湖ロイヤルヒルスキー場から山善跡地の写真①を撮る。その後改めて②写真を撮影後、偶然とはいえ不思議な縁と思えた美濃戸高原別荘地のN-7(尾島山荘)に近いY-10の新野氏山荘のチタンパネルのアート作品を見学する。幸い、彼の仲間と共に尾島山荘に案内して、尾島山荘の活用についても相談する。

 ①ホテル山善撤去後の状況           ②撤去後、公園のテラスとして整備(2022年5月3日)

 連休中の渋滞を予測して3日の午前中に東京に向かうことにして、諏訪の御柱祭りの当日、藤森宅への訪問は中止する。2日午前中に御柱の山出しのルートを確認しながら、宮川小学校脇の木落し地を見て、3日の出発地、安国寺の宮川沿いに並べられた御柱群を見る。曳行開始地点にトレーラーで運ばれた③の如き8本の御柱群は、さすがに巨大で美しい。宮川小の木落しの地から、上川と宮川、鉄道と中央自動車道の横断をどのようにしたのか。やはり実際に立ち合いたいと思ったが。3日の早朝8時からの里曳きは交通規制もあって、地元の人々でも入場券がない限り近づけないという。

③5月3日、安国寺前曳行開始地点の柱群(2022年5月2日)

 第12回は2022年8月1日~4日の間に池の平ホテルで開催することにした。