Blog#97 第20回アジア都市環境学会のソウル大会に出席して

 2023年11月2日(木)、羽田空港で吉田公夫君と待ち合わせ、金浦空港へ。出迎えの慶北大のSeo教授の車で11:40、Yeouido(汝矣島)のGLAD HOTEL着。韓国訪問は9度目で、平均3年毎か。

 初めて韓国のソウルに来たのは1991年4月、韓国に稲門建築会支部を設立するため、当時の稲門建築会会長であった谷資信先生と松井源吾・戸沼幸市・中川武先生等と一緒であった。
 2度目は1993年3月、洪元和君が学位を取得した記念に、彼の母校である慶北大学で「都市環境学」について講演したとき。
 3度目は1995年10月、大韓建築学会50周年に招かれて、日本建築学会長の芦原義信先生と内井昭蔵先生がご一緒で、金真一先生の自宅に招かれた。
 4度目は2003年11月、金真一先生に招かれて、ソウルの大韓建築学会で「ヒートアイランドと大深度地下」について講演をした。
 5度目は2006年4月、大韓建築学会の名誉会員授与で、内田祥哉・岡田恒男(各東大名誉教授)とご一緒した。
 6度目は2007年9月、釜山で黄光一教授等の主催した「第4回アジア都市環境学会」に出席したとき。
 7度目は2014年11月、大邱で洪元和教授等の主催した「第11回アジア都市環境学会」に出席。
 8度目は2018年11月、済州島での「第15回アジア都市環境学会」に出席したとき。

 韓国で特に記憶に残っているのは金真一教授で、本当に親日的で、旧日本総督府の建物の撤去に当たっても、保存運動に尽くされたこと、ソウルのご自宅の庭に沢山のキムチや梅酒の壺があったこと、キーセンパーティや清渓川再生物語等々(「この都市のまほろば第1巻」2005年出版に詳細)。

今回の「第20回アジア都市環境学会inソウル」では、AIUE会長の洪元和教授が慶北大学の総長に就任して3年、予想通り、Yeouidoの国会議事堂正面大通りの立派なYEOUIDO-DONG HOTELを主会場にしての3日間であった。
 まずはホテル到着後、すぐ近くの韓国料理店で洪総長に、私と吉田君と三由賢君(ゲストスピーカーに招かれた)が代表的韓国料理を馳走になる。
 

Journal of Asian Urban Environment
AIUE 2023

 15:00~18:00、立派な講演会場で3人の招待講演「ヨーロッパのコミュニティタウンのゼロエネルギー研究」、「アメリカの水素タウン研究」、「日本の脱炭素ビル計画」とパネル討論会はなかなかの出来である。

シンポジューム

 18:00~20:00、Welcome Patyの料理もなかなかである。
 20:00~21:00 AIUE理事会に高君はweb出席。中国の近況は話しにくい様子なので、第21回は東京を中心に、2024年10月に決定する。洪君の総長終了は2024年10月25日とあって、訪日が心配されるも、この夜はホテルでゆっくり休む。

 11月3日、曇り、外は11月とは思えぬほど暖かい。朝食は吉田君と増田君も一緒。
 9:00から学会賞の表彰式。増田君他2人のスピーチもなかなかである。

学会論文賞 受賞者

  昼は近くの焼き肉店(Yeouido Mansion)で、日本6人(尾島・吉田・中島・増田・依田・福田)、韓国6人の昼食会も実に素晴らしい。国会議事堂前の大通りで洪君と記念撮影。
 午後の大会発表中、私と吉田君はSeo君の車でロッテワールドへ。478mの超高層建築の展望階からの景色は刺激的である。

会場西側 国会議事堂前
会場東側 GLAD HOTEL(右側)
SEOUL SKY(LOTTE WORLD)

夜は恒例のさよならパーティで、真露の酒も出され、コロナ禍での昨年の横浜大会を偲ぶ。各大学の優秀論文表彰や参加者の紹介でパーティ会場の雰囲気は素晴らしく、電光掲示板が効果的である。 

 終了後、来年の東京大会会場について相談。聞くところによれば、ソウル大会は1200万円の予算であったとか。洪君の総長としての集金力のみならず、40人の博士と40人の教授を輩出している彼の政治力と指導力の成果であろう。今度のソウル大会に中国からの出席者が限られていたことに比べて、韓国の発表者や会場設営の素晴らしさ、ロッテワールドの賑わいを見て、日本を超えた先進国になっていることを実感する。

 11月4日(土)9:30am、アフタツアーのバス参加者は予想を超えたと驚く一行の出発を見送って、Seo君手配のハイヤーで吉田君と金浦空港へ。空港のロビーラウンジでヘネシーVSOPを飲みながら時間を潰して、12:05発 JAL092便で羽田空港着。

Blog#96 Book and Art Café の魅力

 2000年9月、富山市太田口通りの自宅を改装して「ギャラリー太田口」を開業した。地元のアーティスト10人展を中心に、1~2年展示即売会等を開催したが、維持管理のみならず、サービスや採算面で収支合わず、パソコン教室とブティックに賃貸していた。
 その後、2020年のコロナパンデミックで、その事業も継続できなくなったため、この期間に再び大改装し、Book and Art Caféにしたが、その経営に関しては全く分からぬまま、目下、NPO-AIUEの北陸支部にして、開店休業中である。

富山市のギャラリー太田口(Ⅰ)正面
(2023.8月)
1F インテリア  NPO-AIUE北陸支部予定

 現代総有研で八ヶ岳の白樺湖畔再生の研究中に、静岡県焼津市のシャッター通り商店街の空き店舗(ギャラリー太田口と同規模)を自分だけの本棚を持つことができる一箱本棚オーナー制度にして、その名の通り「みんなの図書館さんかく」と名付け、賑わっていることを知った。初期は10名程から始めたが、回を重ねるごとに参加者が増え、現在は20名程になっている由。毎月一箱2,000円として、一人で2箱、20人×2箱×2,000円/箱・月×12ケ月/年=96万円/年の収入で、町の賑わいに成功している由。

 このような試みを進化させたのが、雑誌「中央公論11月号」の鹿島茂氏と間室道子氏の対談で知った神田すずらん通りの本好きのための隠れ家カフェ「PASSAGE bis! by ALL REVIEWS」(年中無休で12:00~19:00オープン)である。ここの書棚には本の他にもアクセサリーや食器、雑貨など取り揃えており、ショッピングも楽しむこともできる。本棚は5,500円/月・棚、自分が本屋になれる店で、事前申込みが殺到しているとか。

 2023年10月27日(金)午後、訪ねた。この日は年に一度のお祭り「神保町ブックフェスティバル」開催中(10/27~11/3)で、歩道には古本の露店が数え切れないほど並び、世界一の古本店街に圧倒される。
 店内には鹿島氏の本棚もあり、2023.10.20の鹿島茂氏のサイン入り「子供より古書が大事と思いたい」(青土社 1996.3)の著をSUICAで購入して、3FLのカフェへ。20席程のテーブルに中国人と日本人の6人が話し合っていた。空いていたテーブルで一休みしながらチラシを読む。 

 『フランス語で「第二の」的意味の“bis”と「アンコール!」の意味を持つ(!)がこのカフェを象徴しています』というだけに、「ヨーロッパ香るアンティークに囲まれた落ち着いた空間」である。850円のコーヒーを頼むと40分間の持ち時間限定を記したメモとカード払いのみの請求書が添えられている。本当に美味しいコーヒーのみならず、ビールやワインも楽しめるなかなかのCaféである。
 すっかりこの試みに魅せられて、富山でもこんな店ができたら良いがと思いながら、スマホのシャッターを押す。2024年4月を目途に、NPO-AIUE北陸支部長の西岡哲平君にギャラリー太田口(Ⅰ)(Ⅱ)の開設と活用方法を考えてもらっている。

東京都神保町のPASSAGE bis! by ALL REVIEWS
(上右)本棚、(下)3FL カフェ
2023年10月