Blog#101 第30回DHC協会「東京のカーボンニュートラルとBCDを考える」シンポに参加して

 2023年11月30日(木)TKPガーデンシティPREMIUM品川ホール6Aで、恒例のシンポジュームを開催(定員150名)。

プログラム(13:30~17:00)
 開会の挨拶 当協会 副理事長 柳井 崇(㈱日本設計 常務執行役員)
 基調講演 「脱炭素化による都市発展には何が必要か」
       京都大学 大学院 経済学研究科 教授 諸富 徹
基調報告 「脱炭素化に向けたまちづくりに関する国土交通省の取組み」
       国土交通省 大臣官房技術審議官(都市局担当)菊池 雅彦
基調報告 「東京ガスの CO2 ネット・ゼロに向けた取り組み」
       東京ガス㈱ 常務執行役員 菅沢 伸浩
基調報告 「港区のまちづくりにおける脱炭素への取組み」
       港区街づくり支援部都市計画課長 野口 孝彦

 パネルデイスカッション
【コーディネーター】尾島 俊雄 (早稲田大学 名誉教授 当協会理事長)
【パネリスト】
諸富 徹  (京都大学 大学院 経済学研究科 教授)
筒井 祐治 (国土交通省 都市局 市街地整備課長)
清田 修  (東京ガス㈱ 企画部エネルギー公共グループマネージャー)
野口 孝彦 (港区街づくり支援部都市計画課長)
村上 公哉 (芝浦工業大学 建築学部 建築学科 当協会理事)
閉会の挨拶 当協会 副理事長 長門 秀樹(新菱冷熱工業㈱ 執行役員)

 コーディネーターとして、先ずは大学・国・エネルギー事業者・地方自治体の代表から、本日のテーマについての総論をお聞きする限り、Perfect。しかし、これで2030年、2050年目標が達成できるかと言えば、EXPO‘25大阪・関西万博会場での脱炭素インフラとしてH2導入は完全にゼロとなった苦い体験が当協会のトラウマになっている。面的利用は、ネットワークによって相互連携メリットがある反面、利害の一致が困難で、リーダーの育成が課題である。

 諸富先生には、環境省の脱炭素先行地域の成否は地方自治体の主体性にあること。また、ドイツのシュタットベルケについての質疑で、実情が明らかになった。

 国交省の菊池氏・筒井氏からは、都市再生と安全確保計画制度による容積緩和、立地適正、エリア指定、コンパクトシティなどのあり方と共に、BCDとカーボンフリー、分散電源、防災とエネルギー事業者と立場の違いや主体者としての協議会の構成等に関する問題。会場からは、新宿・福岡・丸の内等を例にしての討論は有意義であった。

 東京ガスの菅沢氏・清田氏からは、eメタンの2030年1%の8,000万㎥はキャメロン計画で達成されることは理解できたが、2050年迄にどれほどの達成が可能になるかについて。また、「グリーン証書」のコスト等について会場からの質問もあり、関心の高さから東京ガスへの期待が大と分かる。

 港区の野口氏からは、区の環境基本計画の最初の作成に当たった体験から、今も区の環境政策の柱になっていることを知る。これだけのDHC施設を持ち、そのネットワーク化の成果が期待される地域が、環境省の脱炭素先行地域に何故指定されなかったかについてと共に、これからでもDHC協会で村上先生等が検討中の成果と協力して提案して欲しい。

 村上先生の清掃工場排熱のDHCへの活用についてのプロジェクトに、国交省や諸富先生が関心を示されたのは大きな成果であった。

 最後に、諸富先生のNHKラジオの日本の経済事情解説は常々関心を持って聞いていることから、是非、GX推進法等による10年間に国費20兆円、2050年迄に150兆円の官民投資計画で、面的熱利用プロジェクトの役割についてもお話くださることをお願いして、時間となる。

 帰途、市ヶ谷で「黒川洸氏を偲ぶ会」に出席。沢山の著名人の顔ぶれを見て、彼の生前の偉業を偲ぶ。