「広域避難住民どこへ」(日経新聞朝刊2020.10.14)を読んで

「台風19号が残した課題、東京東部5区最大250万人、自治体主導の対応限界」の記事。『気候変動を背景に、水害の大規模・広域化が懸念されている。災害基本法でも、災害発生前の広域避難を想定していない。しかし東京の江東5区(墨田・江東・足立・葛飾・江戸川)の大部分はゼロメートル地帯で、最悪の場合、深いところで約10mの浸水が2週間以上続くと見込まれている。2018年5区が策定した計画では、区外への避難を呼びかける対象住民は最大250万人に上るが、この具体対策は進んでいない状況。』

 2017年2月8日、早稲田大学東京安全研究所と日本都市問題会議が主催して、「江東区民の安全・安心に寄与する東京オリパラ施設の活用」について講演したときに、江東区の職員から、江東区のみでは対応できないので、江東5区で広域避難を検討しているとの報告があった。しかし、この2020年10月の新聞報道で、その検討が進んでいないことを知った。

 2017年の講演に先立って、2016年10月、山崎孝明江東区長には、

1.江東区のハザードマップを見る限り、23区中でも最も危険と思われる地域で想定される災害とその具体的安全策について。

「2040年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について」で、2016年5月、都市計画審議会が中間答申した内容には、この水害問題が全く書かれていないこと。

2.江東区に新設されるオリパラ施設が、災害時の避難所として、どれほど活用可能か。

 ロンドンオリパラでは、施設は地域住民のレガシーにすべく、計画時から徹底的に議論し、住民にとって正のレガシーとして機能すべく、レガシーコーポレーションが今も働いている。

3.江東区民の求めるオリパラ施設であると共に、区民にとって安心できる避難施設になるかを中心に、当研究所と日本都市問題会議が江東区と共にシンポジュームを開催するに当たって、その共催をお願いしたい。

 この時の講演要旨を以下に記す。

 江東区が避難場所と指定しているのは、主として地震対策で、水害に対しては全く機能していないこと。この期に、2021年に延期された東京オリパラ施設は、後利用の負担を少なくする減築対策も出来ていない現況を考え、せめて地域住民の水害避難場所としての機能を今から準備してほしいと、小池百合子都知事に願う次第です。