上田篤+縄文社会研究会著「建築から見た日本」を読んで

 「建築から見た日本 その歴史と未来」(2020年10月30日 鹿島出版会)を贈呈されてから一ヶ月後にやっと一読することができた。何故、こんなに時間をかけなければ読むことができなかったのかと改めて思うに、本書の編集時から上田篤の並々ならぬ情熱と編集時の執念のすさまじさを知り、辟易していたからである。無理矢理に自説を押しつけ、それに従えない著者や文章は除去するという方針に賛同しつつも、最初からこれは上田篤の遺言であり、遺書であり、上田の生きた証であり、日本人や私たちへの教書を出版するつもりでもあると判ったからである。

 きっと読みたくない本に違いないと判っていたので、この本の出版を編集した私の研究室卒業生の久保田昭子さんには、申し訳ないが、きっと誰にも読まれないし、売れない本になるかもしれないけれど、きっと良い本になることだけは確かであると告げていたが、最後まで頑張ってくれた。

 そんな状況であったから、何年か後に本書を読むつもりで本棚の奥に入れてあったのが、昨今のコロナ禍で、11月29日の日曜日、余りに時間を持て余していたため、つい読んでしまったのである。

 丸一日掛けて読み終えた夕刻、上田篤著の「30 田園都市」の章と「31 天地笑生」を読み終えて、これは大変だ、早く仲間達に本書を読ませる価値ありと考え、このブログに取り上げた次第である。

 アフターコロナ時代の竿灯に立っての道標として、上田篤が自身の生い立ちを赤裸々に書いた上で、私たちに日本のあるべき姿や考え方、さらには進むべき道をこの2章で示してくれていたからである。

 本書は、不思議な著者達が上田に命じられるまま連著して書いたであろうが、なかなかに面白い内容である。何章かに分散して書かれている上田篤著の部分だけは少なくとも熟読する価値があると思い、一読を勧める次第である。

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