Blog143「第18回  八ヶ岳研究会」に参加するに当たって

 2025年9月27日(土)、新宿発10:04、臨時あずさ83号で茅野駅へ。八王子で相場洋氏、茅野駅で丸山二郎氏と合流。信州蕎麦さらしなで昼食後、オギノ茅野ショッピングセンターで買い物して、そのまま美濃戸の御柱街道に沿った山ブドウ狩りの目的地へ。早朝、丸山氏が調査済みの拠点で1時間。信じられない程の山ブドウを背負い籠いっぱいに採集する。

 山荘で一休みした後、縄文湯で一風呂。その後、自然農園で夕食の買い物をして17:00pm、山荘到着。早速、山ブドウのジャムづくりの工程と夕食のカレーに取りかかるが、ルウが見当たらず、明日の予定であった肴の焼き物を主とした夕食は豪華で美味。

 私は体調もあり8:00pm就寝。2人は深夜まで山ブドウのジャムづくり。

 2:00am~4:00am、東京出発前に送られてきた五十嵐敬喜・三木邦之編著『真鶴町 美の条例―自治体消滅時代と自治を問う―』(2025.9.25発行、ほんの木社)を読む。

 9月28日(日)6:00am、すでに丸山・相場両氏は朝食の用意。パンと牛乳、卵焼きの軽食後、昨夜つくった大鍋いっぱいのジャムに満足せず、再度山へ出発。

 私は五十嵐先生の2018年、現代総有研究所所長就任時の「現代総有研究所設立宣言」を「第18回 八ヶ岳研究会」の議題にしていたことから、1993年(平成5年6月16日)に制定された「真鶴町まちづくり条例」を読む。
(目的)
第1条 (前略)真鶴町の豊かで自然に恵まれた美しいまちづくりを行うため、建設行為の規制と誘導に関し基本的な事項を定めることにより、町民の健康で文化的な生活の維持及び向上を図る(後略)
(基本理念)
第2条 真鶴町は、古来より青い海と輝く緑に恵まれた、美しく豊かな町である。
町民は、これまでこの資産を守り、これを活かしつつ、この町に独自な自然環境、生活環境及び歴史的文化的環境を形成してきた。環境に係わるあらゆる行為は、この環境の保全及び創造に貢献し、町民の福祉の向上に寄与しなければならない。

「真鶴町 美の条例」出版(2025.9.30)

 五十嵐先生のあとがきに依れば、
『本書は「美の条例」制定30周年を記念して、さらにその後も「永遠たらん」ことを期して執筆された。しかしその最中、「美の基準」創出の原動力となった貴重で偉大な人物を失ったことを記しておかなければならない。
 一人は条例制定のために獅子奮迅の活躍をした元真鶴の町長、三木邦之<1941~2024>である。私は今から30年以上前、三木が町長に当選した頃、三木の招きで出会い、「美の条例」の制定を提案した。しかし、「美の条例」は、当時の都市法体系からはみ出るものであり「違法」として裁判で争われる心配を幾度も三木に伝えた。それに対する三木の回答は「最高裁判所」まで争い、それでも敗北したら、その責任はすべて自分が取るというものであった。(中略)この30年間、特に専門委員を辞職して以降、必ずしも十分には真鶴とかかわってこなかった自己批判をふくめながら(後略)』
五十嵐先生は、1993年に三木町長と共にこの条例を創られた。

 私は2008年、黒川紀章氏の逝去で日本景観学会会長に就任。その時の副会長が五十嵐先生であった。
 2013年に池の平ホテルで日本景観学会開催時に、白樺湖畔の廃ホテル「山善」が景観破壊の原因として、この代執行策を提言。その実行に当たって、五十嵐先生の指導もあって、茅野市長や池の平ホテルの矢島社長等の尽力により撤去に成功したこと等から、2018年「白樺湖畔スマートヴィラ研究会」を創立。「白樺湖と現代総有」について五十嵐・矢島・尾島が鼎談し、『現代総有』(vol.5,2023.6.20)で報告した。
 2020年にこの研究会を「八ヶ岳研究会」と改名して、今回は第18回目で、総有の発想を改めて(株)白樺村に活用しては如何かと提案することになった。

 以上の次第で、本書を28日中に読破して、要点を整理して考えたのは、この条例を創った三木町長や五十嵐先生が2013年まで、真鶴町の発展に寄与されながら、2014年以後、町長は引退、また2003年の情報センター設計案がまちづくり審議会で「美の基準」に照らして不適当と判断されたことから、五十嵐先生が委員を辞任された。「美の条例」という「仏を作って」、審議会委員として「魂を入れる」筈の先生が離脱した。五十嵐先生は「法」をつくりながら、その実行に当たっては、すぐ辞退されてしまう悪癖があることが問題である。

 日本景観学会でも一期2年、最大三期6年の会長職を、私は2代目で三期6年、五十嵐先生が3代目会長で、会長を一期で何故か辞退された。私は会長をやめても、今も継続して理事を務めているのは、学会の「継続は力」であるという格言を信じているから。

 夕方になってやっと山ブドウの処理に目途がつき、今日も縄文の湯で一風呂。自由農園で夕食のカレーのルウを仕入れ、この日はカレーライス。

 9月29日(月)早朝から小雨で6:30am朝食後、山ブドウのジャムを分配。東京へ持ち帰るために持参したビンが不足するほど大収穫。砂糖不足でジャムが十分に固化しないので余計処理に困る(出来る限り現地で分配せんと八ヶ岳研究会のメンバーにも分配した結果、矢島社長から山のキャビアといわれる程の貴重なもので、自分もこれ程の収穫した写真は見たことがないと褒めてくれる)。
 10:00am早々に清掃、山荘の冬支度をした後、八ヶ岳農場でハロウィンの風景などを見学して、竜神亭の近くの溜め池(三井の森が管理)を視察して、フレンチの竜神亭へ。さすが10月の月曜とあって空いていたが、当地自慢のランチ定食後、早めに白樺湖畔のすずらんの湯や周辺の貸別荘群を視察。

 2:00~4:00pm、池の平ホテルにて「第18回八ヶ岳研究会」。出席者は、矢島・小林(光)・福島・中川景介・山﨑登志夫・相場洋・私の7人。
 私が議長役として、まずは第17回議事録(Blog140)を中心に説明後、五十嵐先生の「現代総有研究所設立宣言」コピーを配布。以下、現代総有とはの説明で、(株)白樺村のあり方を問うことになった。矢島社長は考え方に反対はなく、コモンズの発想は共有しているとして、(株)白樺村の事業計画の現況について説明する。

 次回第19回は2026年8月に予定して、その時からは「すずらんの湯跡」で会議が出来るよう、また(株)白樺村のコモンズについても検討することになった。加えて、八ヶ岳美術館の閉館の話題やJESと(株)ミライ化成、小林先生の参加の仕方についても話し合った。

 帰途は福島氏のレンタカーに便乗して茅野駅へ。

茅野市営白樺湖温泉すずらんの湯は(株)白樺村で管理することになったので、次回「第19回八ヶ岳研究会」は当地開催予定
        貸別荘(2025.09.29)
       八ヶ岳農場広場のハロウィン用展示会
山ブドウの収穫量と丸山氏の笑顔

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