Blog#88 1967年の噴水と2023年の水素利用にSiemens社と富士電機の支援

 2023年7月14日(金)、OBの吉田公夫君の紹介で富士電機の横山和滋氏と2G社のAndre Banken氏に、ドバイ万博(EXPO’20)会場での水素CGSプラントの視察を依頼した。3人は約束の時間前に(一社)DHC協会に来訪。早速、視察に当たっての手配と同時にドバイでのSiemens社の活動について説明された。

 先ずは世界最大の太陽光発電、100万kW出力(2020年)のMBRからドバイ万博会場への再生可能電力により、水素とそれを用いた水素・コージェネ発電の状況について。UAEやSiemens社がどれほど強い関心を持って、このプロジェクトを成功させたかを示された(下図)。右端のSiemens社の社長が左側に並ぶUAEの大統領(アブダビの首長)や副大統領(ドバイの首長)他の関係者に、このプロジェクトを説明している写真である。

 UAEのみならず、Siemens社がこれからのカーボンフリーとBCD(分散電源)に対してもつ関心の高さが理解できた。

 彼らの説明を聞きながら、57年も昔、大阪万博(EXPO’70)の会場で噴水を計画するに当たって、その基礎調査を委託され、富士電機の支援でドイツのデュッセルドルフ近郊のニュルンベルク(エルランゲン)にあるSiemensの研究所を紹介されたことを想い出した。当時の日本では考えもつかぬ、噴水の研究者(彼らはマイスターと呼んでいた)だけで10人も居て、朝から夜まで一日中、世界中の噴水の実態や施工体験のみならず、水のもつ特性について解説していただいた。噴水を利用した歴史的な王侯貴族の館から公共施設の噴水に至るまで、多様なスケール・景観・国内外を超えての各種噴水のデザインや音や光や風や地形に合わせて多種多様に変化する、ノズルから出る水の躍動美についての各種の実験施設を見せられた。あの時から半世紀以上も経た今日、全く同じようなSiemens社の研究層の厚さを教えられ感動する。

 富士電機とSiemens社の関係は変わらずで、世界中で要求されている2030年から2050年迄のカーボンフリーとBCD対策に当たって、天然ガス・バイオガス・下水ガス・埋立地や牧畜・農業からの各種ガスやH2などの多様なガスが利用できて、20~4500kWの機種も揃えている。加えて、電力と熱それぞれ40%以上で、総合効率80%以上、しかもその用途はマイクログリッド・CEM・BEMS・FEMS・PEMS等、どのような用途にも対応できる製品カタログについても説明があった。

 今度の製品の研究開発はドウセルドルフ近郊の地方都市で行われているという。カタログのStadtwerkという文字に注目。自治意識の高いドイツの地方自治体が生み出す人類・世界共通の要求に基づく製品を開発するというドイツ特有の歴史文化のDNAが今も生きているのだ。

 2時間の話で十分私達の要求が満たされたので、当時のドイツでは2時間の昼休みがあり、その間はシャンパンを飲んで素晴らしい昼食を御馳走になったことを話して、明治屋で昼食を接待した。シャンパンの代わりに白ワインを勧めたら、今のドイツでは昼食は45分に加えて、インフレでゆとりがないという。次の約束もあるからと、本当に45分のランチのみで終了したが、久し振りに良い勉強をさせてもらった。

 ちょうどこの間、日本の岸田文雄総理が民間企業を大勢連れてサウジアラビア、UAE、カタールの3国を訪問中で、日本の脱炭素戦略に当たって、水素やアンモニアの活用を中心に研究協力を深めることになったという。(一社)DHC協会としても、11月の調査は日本のこれからの脱炭素戦略にとって大切な機会になると確信した。

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