2023年11月20日~27日「シンガポール・UAEからの水素・アンモニアサプライチェーン調査団」のお土産にBateel(「ナツメヤシの若い枝」というアラブの古い言葉)が届いた。瞬間、岡本君か古市君が「この都市のまほろば」で書いたドバイの記事『ディラのショッピングモールでナツメヤシの実がゴディバのチョコレート並に商品化され、高級な箱入りの土産として売られている』という文章を読んでの持参かと思った。
ネットでBateelを調べると、なんとドバイ土産の定番!高級デーツ、王室御用達バティール「BATEEL DATES」で、超高級品とあった。アラビア諸国ではデーツは伝統食で、高級バティールのデーツはサウジアラビア王室御用達になっている。デーツとはナツメヤシの果実で、美容効果やダイエット効果があり、女性にも大変人気があるという。
11月30日~12月5日に、ドバイ万博会場跡地のEXPO CITYでCOP28が開催されることが分かっていたので、その前の11月25日頃に調査日程を組んだのが裏目に出て、準備のため調査団の訪問日は完全にclosedで、外側から見るだけであったという。H2・CGSプラントの見学は不可であったのが残念!
しかし、UAEではマスダールシティや巨大なるソーラーパーク、シンガポールではマリナベイのDHCプラントを三菱重工が施工もしたことから、完全な情報収集が出来たので、この第2次調査団も大成功であった。この機会に、2024年1月から海外からのグリーン水素サプライ調査委員会を発足することにした。
COP28の初日、11月30日はグローバルサウス(新興途上国向け)の気候変動対策を目的として300億ドル(4.4兆円)の基金を設立するとUAEのムハンマド大統領が議長国として発表。基金は「アルテラ」と名付けられ、2030年迄には全世界で2,500億ドル(36.6兆円)規模の資金を呼び込むという。
12月1日は首脳会議で国連のグテーレス事務総長は「地球のバイタルサイン(生命兆候)は破綻しつつある」として、1.5℃目標達成には「全ての化石燃料の燃焼を停止した場合のみ可能」と訴える。COP28では、パリ協定の目標達成に向けてGST(グローバル・ストックテイク、5年毎に検証)を行うことに成功した由。
岸田首相は1日、CO2対策なしの石炭火力発電所は新設しないと表明したが、30%を占める稼働中の発電所の廃止は言及せずとは新味なし。その上、原発再稼働で22%の目標達成発言には、日本政府の先駆性が感じられない。案の定、12月4日の朝日新聞夕刊で、岸田首相の名前を挙げた上で、日本の化石燃料への執着で、見せかけの環境配慮「グリーンウォッシュ」だと認定して、環境NGOの国際ネットワーク(ICAN)が選んだ「化石賞」4期連続となった。日本はアンモニアや水素を燃やしてもCO2を出さないとして、「石炭や天然ガスの混焼発電の寿命を延ばそうとのくわだてが、透けて見える」と批判している。
UAEのグリーン水素政策は、自国のカーボンニュートラル達成に精一杯で、とても日本への輸出は考えられないとの岡本調査団の報告は貴重である。12月18日、調査団全員の報告書が手元に届いたのを見る限り、UAEのみならず、サウジアラビアやオマーンなど中近東からのサプライチェーン調査は、やはり価値ありと思われた。同時に、マリナベイのDHC共同溝などは、大都市インフラとして必然性ありと認知したこと等、調査団の報告は期待どおりであった。
DHC協会のグリーン水素サプライチェーン研究は、オーストラリアを第一に、サウジアラビアやオマーン等に絞った上、その活用方法には欧米も参考にすると良さそうだ。
調査団長の岡本利之、副団長の島潔、幹事の古市淳、団員の小川哲史、水内智貴、瀬川裕太、髙田修、谷口雄樹、和田稔、長尾竜太郎、戸田泰幸の各氏の報告書に感謝申し上げると共に、お土産のBateel Datesと完成したザ・パーム・デイラ人工島の写真を記載することをお許し願いたい。