2020年3月11日、人口一千万人の中国の武漢市がロックアウトしている状況下にあって、WHOのテドロス事務局長がやっと新型コロナウイルス感染症をパンデミック認定した。
4月3日には100万人の感染者と死者5万人超えたニューヨークの市長が悲壮な状況を報告、テレビ画面は地球上に拡散した新型コロナ・パンデミックの恐怖を実感させる。
東京もロックアウト寸前で、第2回東京オリンピックはすでに一年後の2021年7月に延期され、株式市場のみならず金融業界は、1987年のブラックマンデーや2007年のリーマンショック以上の経済危機を出現。
パンデミックとは、感染症(伝染病)の世界的な大流行を表す語で、ギリシャ語の(Pan「全て」とdemos「人々」)が語源という。感染症の流行は、(1)エンデミック(endemic「地域流行」)、(2)エピデミック(epidemic「流行」)、(3)パンデミック(pandemic「汎発流行」)に分類され、最大規模がパンデミックである。
感染症とは、微生物が体内に侵入し繁殖したために発生する病気のことで、例えばウイルス、細菌・原虫などの病原体が人体の内部に侵入して増殖した結果、咳・発熱・下痢などの症状を示す。天然痘・インフルエンザ・AIDSなどのウイルス感染。ペスト・梅毒・コレラ・結核・発疹チフスなどの細菌感染。マラリアなどの原虫感染がある。
人口一千万人の大都市、中国大陸の交通要所である武漢市が、全面封鎖以前に、市民の半分に相当する500万人が武漢市から逃げ出していたとの報告から察するに、2019年に発症していた事実が隠ぺいされていた。ウイルス感染の実態をインターネットで広報した医師が当局に止めさせられたうえ、その医師自身が感染して死亡したことから、その医師を英雄と称して当局の責任回避を行ったこと等、この間の隠ぺい工作が米国をはじめ世界が問題視している。
こうした状況下、ロンドン・パリ・ニューヨークと次々に世界の大都市がロックアウト状況下に置かれている。特に、4月4日、ニューヨークのクオモ知事は10万人余の感染者と2400余人の死者で、人工呼吸器の不足を叫び、「医療体制の崩壊」を告げている。セントラルパークに野外病院を建設、30日にはマンハッタン島に海軍の病院船「コンフォート」が到着。新型コロナ以外の患者を受け入れ、既存の医療機関を支援していた。
2020年10月、日本学術会議のあり方が政治問題になっているが、私自身、日本学術会議の「大都市をめぐる課題別特別委員会」の委員長として2年間に17回の会議と2回の役員会やシンポジュームを通して、各部から2名、14人の会員を中心に討議を重ねて報告し、2005年4月にはその結果を総会の決議を得て総理に「勧告」している。
特に感染症の心配については、7部の折茂肇教授と金子章造教授が担当であった。勧告の一部「大都市の安全確保対策として、病院船の建造や感染症対策等の救急医療体制などを早急に整備する必要がある」と。
災害時緊急医療体制として、病院船・外傷センター等の必要性について、アメリカのこの病院船の例を挙げ説明している。この勧告と報告書について、小泉総理は重く受け止め処理したいとの報告あり。2年後、新潟県での地震対策から病院船の要求が出されたこともあり、後日、学術会議事務局より内閣府に問い合わせたが、検討中であるという回答で終わっている。2020年3月の新聞で病院船の調査予算が計上されたとの記事を見るも、実装は如何なものか。
私の専門とする都市環境学としては、アフターコロナのメガトレンドとして、1.分散都市、2.監視社会、3.新常態、4.職住融合、5.三密回避によるステイホームのライフスタイルのあり方に関心がある。アフターコロナ時代にあっては、スマートシティやスーパーシティの発想とは一線を画した都市と地方の二地域居住の制度化研究が必要である。この機会を捉えて、地球環境と人類の持続可能な社会に寄与する都市環境学のデシプリンを再構築したい。