2021年のゴールデンウィーク(娘との散歩で得た知見)

 東京都民は第3次緊急事態宣言下のゴールデンウィークならぬ10日間ものステイホームをどう過ごしたものかと考えていると、ハイキング姿で娘が散歩に行くというので、取り敢えずお供させてもらうことにした。

 5月2日の日曜日の午前10時頃、都立家政の自宅を出発。娘のスケジュールは、昨日は阿佐ヶ谷、明日は桜台、明後日は石神井川に沿って豊島園の予定とかで、自宅から半径10km程の周辺散歩を予定している様子。

 何はともあれ、同行して驚いたのはスマホの威力である。自宅の練馬区から杉並区の高円寺までは中野区の密集住宅街を抜けて、細い道を上手に間違いなく、その上、面白そうな商店街や公園、曲がりくねった妙正寺川等に沿いつつも、新旧軒を連ねた住宅地や多様な商店、空き地の草花等、スマホのアプリであっという間に解説してくれる。小一時間の散歩は、私にとっては、はとバスの観光案内付きの小旅行の如き時間。長い間一緒に生活しているが、娘とのこんな散歩は初めての体験で、コロナ禍の新常態か。

 家を出る前に見たamazonからの手紙は、10年前に出版した「この都市のまほろば 消えるもの、残すもの、そして創ることvol.1」電子書籍版の売れ筋ランキング第11位おめでとう!」の内容であった。全国800余都市を10年かけてvol.7まで出版したシリーズ本で、走馬観花の旅行記であったが、本日の如きたった半径10km圏の散歩でも充分に楽しい時間。まさに下馬観花の時代である。

 練馬・中野・杉並の各区で一変する住居地域や商店街の景色、同じ商店街でも高円寺の北と南、西と東の区画では全く異なるコミュニティや商店があって、それぞれに楽しく、生き生きしている。結局、娘につられていろいろなものをテイクアウトして、これも娘が持参した大きなエコバッグにたくさんの戦利品ならぬ食品や本等を購入した。高円寺からは重いエコバッグを持って、いつもの帰宅タクシーで環七・新青梅街道で自宅へ。

 3、4、5日の3日間は結局、当日何気なく購入した「手塚治虫の山」(ヤマケイ文庫)、長沢洋著「奥多摩・奥秩父」(山と渓谷社)、斎藤幸平著「人新世の『資本論』」(集英社新書)を熟読して過ごすことになった。

 「2021新書第1位 人類が地球を破壊しつくす時代」20万部突破の新書「有限の地球は行き着くところまできた。」SDGsもグリーンウォッシュで自滅、グリーンニューデールもすでに手遅れで、地球社会はすでに自然本来の回復力(レジリエンス)である臨界点(プラネタリー・バウンダリー)を超えてしまったこと等々を論証した上で、脱成長を目指し、信頼と相互扶助によってコモンを実現する。3.5%の同調者がいれば新天地が創れると説く。五十嵐先生の現代総有論や宇沢弘文先生の「社会的共通資本」を上手に管理することで、アフターコロナ時代の新しい天地創造の方法論がみえてきた。私より50才も若い斎藤氏が、マルクスが資本論で書き残したコミュニズム説や、10才は若く見える五十嵐先生が入会権や財産区に関心を示しての現代総有論も「温故知新」であること。

 しかし具体的に変異ウィルスが地球上で猛威を振るって、今日もまだ暗雲が東京を包囲する。失われた日本の30年は長期停滞であると厳しい斎藤幸平氏は「脱成長にはコモン(水・電力・住居・医療・教育・森林・牧地・土地等)の水平的な共同管理(コミュニズム)の基盤が大切で、三位一体(資本主義の超克、民主主義の刷新、社会の脱炭素化)が不可欠という。NET(Negative Emissions Technologies)や原発、CCS技術は劣悪な解決策で、転嫁の技術に過ぎない。持続的成長(Sustainable Development)は不可能である」と断言する資料を提供して、経済のScale DownとSlow Downのみが目下の脱成長策との説に脱帽する。この要旨が、「手塚治虫の山」で「生きる」ことの尊さを描いた数編のマンガに共通しているのは驚きで、私自身は、結局、何も考えずに、今少し山渓の本を頼りに周辺の山歩きをすることにした。

 5月5日は娘が豊島園散歩と知ったので同行させてもらう。OBの早川潤君が豊島園跡地がハリーポッター館と都立公園にされるに当たって、石神井川に沿って親水空間を再生することで、ヒートアイランド対策のみならず、自らが住むコミュニティ活動を支援して欲しいとの依頼を思い出したからである。

 娘のスマホの威力を借りて再開発中の豊島園周辺の散歩であった。「この都市のまほろば」シリーズで豊島園周辺を取材した時と全く違った周辺視察で、早川君の意図している石神井川の水際を親水空間とする都市公園の計画(春日神社からの参道を利用した石神井川の活用は素晴らしい憩いの空間が生まれる)は、百聞は一見に如かずで、久し振り8千歩以上を歩くことができた。

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