1976年東京生まれのイスラム思想研究家で、46歳の女性アラビア語通訳者の著で学んだ「中東のパラダイムシフト」。
・一つは、自由と民主主義、西側諸国と共存志向の親米陣営にあるサウジアラビア、UAE、イスラエル、エジプト
・一つは、現在の秩序を破壊し、暴力で拡張覇権を狙う親中陣営(親日にあらず)
イラン(8500万人)、レバノンのヒズボラ、パレスチナのハマス、アフガニスタン(4000万人)のタリバン(10万人程)はリッチなテロ組織。
(イラク、シリア、レバノン、イエメンはイランの支配下にある)
トルコやカタールは親米のふりをしつつ、この陣営に深くコミットする。
・2021年の経産省「エネルギー白書」によると、2019年の日本の原油輸入先
①サウジアラビア34.1% ②UAE32.7% ③カタール9.3% ④クウェート8.9% ⑤ロシア4.8%
この現実を直視しない日本外交と日本の報道や専門家について実名で反論する明快さに脱帽する。
特にアフガニスタンのタリバンを支援する日本政府や日本のジャーナリスト・専門家の間違いを糾弾する。また反米国家「イランは親日」というのも間違いである。8500万人のペルシャ人、イスラム教の国でアルカイダを匿い、国家主導でテロを実行。ホメイニの大量処刑を取り仕切った4人の司法官の一人、イブラヒム・ライシが現大統領。
トルコ(8500万人のトルコ人、イスラム教が大部分)は、親日国の代表格というが、2003年から続くエルドアン大統領の独裁下にあって、イランと並ぶ「伝統的友好国」とか「価値観を共有する民主国家」との認識は間違っている。
2020年9月、「UAE、バーレーン、イスラエルはアブラハム合意宣言」に署名。仲介者はトランプ政権。スーダンとモロッコも参加。エジプト・ヨルダンは既にイスラエルと正常化。いずれサウジアラビアもイスラエル人とパレスチナ人の国家問題解決に向かっている。
以上の如き偏見とは思えない情報をこの新書から読み取った結果、これ迄の私自身の中東問題に対する疑問が相当解決した上で、NOSPを再開したい。
2009年2月、公共建築協会主催でUAEのアブダビ・ドバイ視察時、オマーンのマスカット等を訪問。UAEでは2008年から地域冷房を義務化して、既に300万RTが稼働中。日本全国を合計しても100万RTの規模である。「この都市のまほろば」(中公新書vol.5 p206の図参照)に東京-静岡間の東海道メガロポリスに比較して、UAEのアブダビードバイ間の都市建設に200兆円投資、2020年のドバイ万博を機に、2030年迄にさらに100兆円投資予定。
少なくとも、そのためには200万kW以上の電力が不足するに当たって、2000haのソーラーパネルを設置するスペースは、このアブダビ・ドバイ間の高速道路周辺に十分用意されていた。
このような実態を知って帰国後、このソーラー発電とソーラーパネルの受注のみならずエネルギーを日本に輸送するための液化水素技術や水素船の研究をすべきと考えた。2009年4月からNOSP(日本オーバーシーズ ソーラープロジェクト)研究会を組織して、第1期(2009~2012年、14回)、第2期(2016~2017年、6回)、第3期(2018~2020年、4回)開催している。2020年のドバイ博は、この研究チームで訪問予定であったが、コロナ・パンデミックとあって、2020年8月5日の通算第27回以降、中止になっていた。
このNOSP調査の実現に当たって、目下、2023年春、以下の地域を訪問したいと考えている。それは2025年の大阪・関西EXPO‘25会場にグリーン水素を少なくも1000トン活用したいと考えたが、水素運搬船がNEDOの実験船「すいそ ふろんてぃあ」(78トン)のみで、とても間に合わなかった。2030年であれば川崎重工(株)の1万トンの実用船が利用できるとあって、この水素量を輸出できるのはUAE、サウジ、オマーンが有望となった。
然るに、この親米陣営の国への訪問団に当たっての事前調査が日本の政府関係者からはなかなか困難と聞課されていた次第が飯山著で何となく理解できた。従って、今後は直接、欧米の国々や現地関係者と直接連絡を取りたいと考えた次第である。
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<NOSP第1期研究会におけるプロジェクト構想>
<2022年時 中近東におけるグリーン水素輸出可能地域調査>
○UAE:
①三井物産(アブダビのルワイス工業地域内、ブルー水素20万t/年)
CCUS・ENEOS・NEDO・GIB
Helios Industry グリーン水素事業 K12AD(UAE)
②マスダール社 マスダールシティ2030年迄グリーン水素実証事業 48万t/年
③ドバイ MBRソーラーパーク、万博跡地利用状況 1300kW SIEMENS
○サウジアラビア:
④サウジアラビア 未来都市NEOM、グリーンアンモニア事業(米・デンマーク・独) グリーンイニチアチブ 100万kW~400万kW ソーラー発電 グリーン水素650t/日
○オマーン:
⑤オマーン・グリーンエナジー事業 2032年~ 250万kWソーラー発電 180万t/年 グリーン水素 1000万tグリーンアンモニア輸出
<水素運搬船の開発>
日本にグリーン水素を海外から輸入するには、LNG船同様の液化水素運搬船の開発が不可欠である。2022年4月、川崎重工(株)が16万㎥型(4万㎥タンク4基≒1万トン)の基本設計承認を取得。2022年に1,250㎥(78トン)の「すいそ ふろんてぃあ」実験船の成果をベースに、2025~2030年には実用化予定。