2024年元旦、16時10分、地震速報!石川県志賀町で震度7(M7.6、150kmの逆断層型地殻変動、4m隆起、1.2m水平地盤変動、深さ10km)「津波、高台へ逃げる!」との女性アナウンサーの絶叫がTV画面から流れ続ける。
東京は震度3。しかし日本海一帯の広域に拡散する震度6強~5強は異常に巨大である。志賀原発や柏崎原発の安全が気になる。インターネットの情報では、16:30自衛隊の自主派遣で千歳の第2航空団による航空偵察後、石川県の馳浩知事から陸自第10師団に災害派遣要請。同時に空自輪島分屯基地へは1000人の住民避難。しかし、こうした自衛隊の災害出動についてのテレビ報道は全くなく、テレビ各局が同じ絶叫報道にうんざりして、ラジオをつけたまま眠る。
2日早朝、見覚えのある板塀が続く輪島市の朝市通り、焼け跡の映像が痛々しい。280m四方、200軒以上の民家が全焼した。輪島市の死者15人との報道。金沢市内でも倒壊した住宅の惨状は想像以上。富山や新潟でも液状化により随処で道路が陥没、国道や県道まで寸断。時間経過と共に災害状況が明らかになってくる。
岸田文雄首相は、人命第一に、自衛隊は2000人から5000人に増員、道路が寸断された地域にはヘリやホバークラフト等、随処で支援活動。建物倒壊による圧死者や行方不明者に救助隊、漁港では地震と津波被害で漁船の転覆。海岸周辺の海の家や住居屋根の崩壊である。
3日からは雨予報とあって、被災した自宅での避難は難しくなってくる。
1月11日(木)、地震発生から10日目、被災状況が明確になるにつれて「激甚災害」の認定公表。死者213人(関連死8人、安否不明52人)、孤立集落2市1町の22地区3,124人。13市町に開設された398ヶ所の一次避難場所には2万6,000人、断水5万9,000戸、停電1万5,000戸、2次避難所へは182人が移動。金沢市内の体育館を1.5次避難所として101人が身を寄せている。自衛隊は6,200人に増員。車中泊やビニールハウスに避難する人、寒さ対策からの避難場所での関連死が予想され、運動不足、水分補給、トイレ我慢からのエコノミークラス症候群に警報。
11日夜、BSフジのプライムニュースで馳浩知事がライブで岸田文雄総理を中心とする政府や連携自治体並びに自衛隊や警察・消防等の支援活動が悲惨な被災地で驚く程に機能し、発揮されている。映像でも伝えてくれていたので、本当に安心した。
「能登はやさしや土までも」との馳知事の心境説明で、関連死を覚悟しても一次避難場所から離れられない能登の人たちのことを考えると、広域避難のあり方として1.5次避難地でのデータベース作成の手間等、DX時代にあって日頃から考えなければならぬことを改めて認識した。
志賀原発立地から5km圏に志賀町(人口2万4,000人)、10km圏には七尾市(人口6万2,000人)が入る。30km圏には輪島市(3万3,000人)、穴水町(1万500人)、中能登町(1万9,700人)、羽咋市(2万4,000人)、かほく市(3万5,000人)、宝達志水町(1万5,500人)、富山県氷見市(5万4,000人)の合計5市4町がUPZ地域で人口27万7,700人。
「能登の里山里海」地区は2011年6月に世界重要農業遺産システム(GIAHS)に認定されている(図1 2013年10月、私の視察ルートを示す)。
「日本は世界のまほろば2」(中央公論新社 2015.5)の120p。政府の原子力総合防災訓練で安倍晋三首相が官邸から直接指揮するとの記事が北國新聞10月4日あり。2014年11月2日、震度6強の地震発生し、原発が自動停止、外部に放射性物質が拡散したと想定して、5km圏内住民が即時避難。30km圏内住民が屋内に退避の訓練を実施し、住民が3,700人参加との朝日新聞記事あり。その実態を公表して欲しいと思って問い合わせると、実際には悪天候で道路の寸断等の予想で、十分な訓練が出来なかったとのこと。
2024年1月11日(木)の朝日新聞は「志賀原発リスク露呈。再稼働審査中の2号機(135万kW)については、今回の地震で断層が連動している可能性から要審査。1号機(54万kW)については、建屋近くの道路の段差から活断層の可能性が心配される等。」
仮に再稼働が許可されても、住民の広域避難対策は不可欠なことは明らかである。とすれば、今回の地震で2次避難を予定している1万人以上の体験をベースに、志賀原発の過酷事故時に備えて、5km圏2万4,000人、30km圏27万人の広域避難対策のデータベースづくりをしておくべきであろう。
参考までに、日本全国には2次避難に適したセカンドハウスは41万戸、ホテル51万戸、旅館は71万戸で合計196万戸あり、1戸当たり3人としても588万人分のデータ作成が可能で、DX時代にあって検討すべき課題である